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足場の風圧力計算|速度圧の求め方と基準風速V₀の選び方

タスクふぉ編集部 2026/9/9

足場に作用する風圧力は「速度圧 × 風力係数 × 負担面積」で求めます。建築基準法の基準風速V₀をそのまま使ってしまう過大設計の罠と、仮設足場における適切な風速設定の考え方を整理します。

足場の風圧力計算|速度圧の求め方と基準風速V₀の選び方

仮設の構造計算でつまずきやすいのが、最初のステップである風圧力です。壁つなぎも支柱も、根拠となる荷重を間違えていれば、その後の計算がすべて崩れます。

そして実務でもっとも多い誤りは、計算そのものではなく、入力値の選び方です。この記事では、風圧力を構成する三つの要素と、基準風速 V₀ の選定で間違えやすい点を整理します。


1. 風荷重は三つの要素の積

外部足場に作用する風荷重は、突き詰めればこの式です。

W = q × C × A
  • q:設計用速度圧(N/m²)— 風の強さを圧力に換算したもの
  • C:風力係数 — 足場がどれだけ風を受け止めるか
  • A:受風面積(m²)— 対象部分の面積

壁つなぎの検討も、支柱の検討も、根足場の検討も、出発点はこの式です。違うのは A の取り方だけと言ってもかまいません。

<!--FIG:fig-2-1:図1 風荷重を構成する三つの要素。変えられるのは C と A-->

図1 風荷重を構成する三つの要素。変えられるのは C と A 図1 風荷重を構成する三つの要素。変えられるのは C と A

このうち q は「その土地でどれくらいの風が吹くか」、C は「足場をどう養生するか」で決まります。前者は動かせませんが、後者は計画で変えられます。ここが仮設計画の勘所です。

2. 設計用速度圧 q の求め方

速度圧は、風速の二乗に比例します。

q = 0.625 × (V₀ × 各種係数)²

〔要確認:適用する指針の版に合わせて式と係数の定義を確認〕

二乗である点が重要です。風速が1.5倍になれば、圧力は2.25倍になります。基準風速の選定を一段階間違えるだけで、必要な壁つなぎ本数が大きく変わるのはこのためです。

基準風速 V₀ とは

その地域で想定する風速の基準値です。地域ごとに定められており、海に面した地域や台風の常襲地帯では大きくなります。

ここで最大の注意点があります。

建築基準法で建物の設計に使う V₀(30〜46m/s)を、そのまま足場に使ってはいけません。

建物は数十年使うものとして再現期間50年で設計します。一方、工事用足場の設置期間は数か月です。仮設に本設と同じ風速を要求すれば、壁つなぎが成立しない足場ばかりになります。そのため足場では、再現期間1年に相当する風速に低減した値を用いるのが一般的です。

〔要確認:低減の考え方と具体の数値を指針に基づいて記載〕

高さ方向の分布

風は地表付近で弱く、上空ほど強くなります。この分布を表すのが高さ方向の係数です。

Er = 1.7 × (H / ZG)^α    (H > Zb の場合)

〔要確認:式形と適用条件〕

<!--FIG:fig-2-2:図2 高さ方向の風速分布と地表面粗度区分-->

図2 高さ方向の風速分布と地表面粗度区分 図2 高さ方向の風速分布と地表面粗度区分

ここで α と ZG は地表面粗度区分によって決まります。

粗度区分想定する環境
I海岸、海上
II田園、草原
III郊外、樹木のある地域
IV一般市街地
V大都市市街地

〔要確認:区分の呼称と数値を採用基準に合わせる〕

周囲に建物が密集しているほど風は弱まるため、区分が進むほど速度圧は小さくなります。

3. 入力値の選定で間違えやすい点

建物高さで計算してしまう

風圧力は足場に作用します。したがって基準とすべきは足場高さです。足場は通常、建物より1m程度高く組みます。この差を無視すると、最上部の検討が甘くなります。

粗度区分を実際より粗く取る

「市街地だから区分IV」と機械的に判断してしまうケースです。実際には、敷地が河川沿いだったり、周囲が更地だったり、造成中で建物がまだ建っていなかったりします。着工時点の状況ではなく、足場が存在する期間の周辺状況で判断する必要があります。

工事が進むと周辺環境が変わる現場もあります。その場合は不利側で押さえておくのが安全です。

再現期間1年で計算した結果を万能だと思う

再現期間1年ということは、その風速を超える風は普通に吹くという意味です。台風が接近する場合、計算の前提そのものが成立していません。

計算書が成立していることと、台風時に足場が安全であることは、別の話です。前者は設計、後者は管理の領域になります。垂直養生材の撤去や壁つなぎの補強といった対応を、施工計画側に明記しておく必要があります。

4. まとめ

  • 風荷重は「速度圧 × 風力係数 × 面積」の三要素
  • 速度圧は風速の二乗に比例するため、入力値の誤りが大きく効く
  • 建物用の基準風速をそのまま足場に使わない
  • 基準は建物高さではなく足場高さ
  • 粗度区分は着工時ではなく足場設置期間中の状況で判断
  • 再現期間1年の計算は、台風時の安全を保証しない

次は、この式の C(風力係数)を大きく左右するメッシュシートについて見ていきます。



この記事の計算を実際に試す

壁つなぎの風荷重照査は、ブラウザで入力するだけで自動判定できます。計算根拠付きの計算書をその場で出力可能です。

→ 壁つなぎ計算ツールを使う

足場計画図・計算書・工事着手前申請書についてのご相談は、株式会社エヌティーデザインまでお気軽にご相談ください。